2月 4, 2016
まず,ウィザードリィ外伝Ⅲのストーリーの骨子は,以下のとおりです。アガン・ウコーツの恋人ダリアが死ぬ→カント寺院での蘇生が失敗する→アガンが恋人を蘇らせるためデビルブックと契約して魔族を召喚する→恋人は蘇ることなく死霊となり,召喚された魔族によってリルガミンは滅びる→儀式の影響でアガンは遠い異国へ飛ばされる→異国で王となったアガンがリルガミンの跡地へ攻め入り,城塞都市ダリアを建設→魔族は,アガンが世界を取った後に自分らの王として迎え入れることで世界を征服しようとする→魔族の企みに気づいた古い龍エル・ケブレスがアガンに黄金の仮面を被せ,活動を止める→王の呪いを解いた者に褒章が与えられるとの噂を聞きつけて冒険者が城塞都市ダリアに集まる→本編開始ここで注目すべきは「カント寺院での蘇生が失敗した」ことです。蘇生がうまくいっていればこんな物語にはならなかったのに,などとやぼなことをいうつもりはありません。問題はもっと深いところにあります。ゲーム本編でカント寺院の跡地を探索すると,司祭の生き残りと出会います。すると,彼らはこう言って襲い掛かってくるのです。「私はこの寺院を守る最後の司祭です。 寺院の秘密を探る者に死を与えましょう」はたして寺院の秘密とはなんなのでしょうか?司祭を倒し,探索を進める冒険者たちが発見するのが恋人ダリアの遺体です。ということは,この遺体が寺院の秘密?いったいどういうことなのでしょう。ウィザードリィ世界には蘇生呪文が2つあります。ディとカドルトです。冒険者の遺体にディをかけると,蘇生するか灰になります。灰になるともうディでは対応しきれず,カドルトを使うほかありません。灰にかけたカドルトが失敗するとキャラクターはロストします…ウィザードリィを象徴するイベントのひとつです。ところが,カント寺院の跡地にあったのはダリアの「遺体」です。カント寺院で蘇生の儀式を行ったのであれば,遺体のまま残っているのは奇妙です。蘇生できなかったのであれば,灰になるかロストしていなければならないのですから。遺体が遺体のまま残っている,これはすなわち当時のカント寺院にはディやカドルトを使うことのできる司祭がいなかったということを示すのではないでしょうか。末法のリルガミンにおいてすでに寺院は信仰を失っていた,そしてそれがリルガミン崩壊の遠因となった。いや,ともすれば,信仰の凋落それ自体がリルガミン崩壊の原因であった。これこそが寺院の秘密,ダリアの遺体こそがその動かぬ証拠というわけです。自らの権威の失墜を恐れ,すでにリルガミンが滅んだあとも絶えることなくダリアの遺体を隠し続けてきた司祭の姿には,滑稽を通り越して虚しさをすら覚えるほどです。なお,リルガミン末期の信仰の凋落については,ドラゴンゾンビ=エル・ケブレスの「この国の民は信仰心も薄れ,神は神でなくなった」という話からも伺い知ることができます。エル・ケブレスは「人間が神を裏切ったので」人間を滅ぼすと言っているのです。この話からも分かるように,この作品では信仰というテーマが非常に大きなウェイトを占めているようです。
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